劇団四季の創立55周年ミュージカル 55STEPSの千秋楽4回前公演を見てきました。

「劇団四季ソング&ダンス~55STEPS~」
2010年11月19日(金)18時30分開演
劇団四季 電通四季劇場[海]

□キャスト
・ヴォーカルパート
渡辺 正
平良 交一
李 涛
金平真弥
早水小夜子
福井麻起子
・ダンスパート
水原 俊
斎藤洋一郎
河野駿介
徳永義満
西尾健治
花島佑介
金久 烈
新庄真一
前田順弘
加藤久美子
駅田郁美
井上佳奈
須田綾乃
柴田厚子
杏奈
井上実美
原田麦子
今 彩乃
泉 春花

□感想

2年間続いた55STEPSも残す所、あと4回。21日の千秋楽に向けて、このメモリアルな瞬間に立ち会うことが出来ました。

普段、劇団四季を観に行くのは土日が多いのですが、今回は金曜日の夜。年齢層が高いのか、明日が休みなので興奮しているのか、あと4回で千秋楽だから何かスペシャルなことをやってくれるんじゃないか、様々な思いが交差しつつ、劇場は開演前から盛り上がりを見せており、会場全体が熱気を帯びたエネルギーを発していました。

ただ、気になるのはキャスト。個人的に贔屓にしている人があまりおらず、今回は大丈夫かなぁ、と一抹の不安がよぎりました。一方、カーテンコールには事前のアンケートで人気の高かった演目を披露してくれることになっており、このような期待と不安が入り交じったなか、ボクにとって、最後の55STEPSは幕をあけました。

いつものようにオープニングが始まったのですが、驚いたのが観客の反応が熱狂的な点でした。ひとつの曲が終わるごとに割れんばかりの拍手が劇場を包み込みます。おそらくキャストの千秋楽に向けた意気込みが観客に通じたのでしょう。それを受けた観客の反応が、キャストに伝わりさらに盛り上がる。ほんと、そんな公演でした。

更に、特筆すべきは演出です。ボクは四季劇場「秋」で2回、そしてこの「海」でも1回、この55STEPSを観ましたが、それらとは違った演出の曲がいくつもありました。リピーターに対する細やかな配慮がとても嬉しかったです。おそらく、千秋楽近くの公演に来る人たちは、コアなファンも多いはず。そういったファンの心をわしづかみにする演出でした。

そして、前半のフィナーレは「美女と野獣」からBe Our Guest。この曲、このダンスを観るだけでも、チケット代分の価値がある演目です。久しぶりのお客さまへおもてなしをすることへの喜びを、緩急ある演出で見事にアレンジをしています。

さすがラスト4の公演。演じる側のテンションの高いことが伝わり、同時にもうこれが見れなくなるとおもうと寂しくなり、もう冒頭からウルウルしてました。この55STEPS、キャッチコピーは「ミュージカルの宝石箱」。いくつもの輝きをみせるこのミュージカルの中で最高の輝く瞬間でありました。

第2幕。

ここでも随所に、新しいアレンジがあってリピーターのボクたちにも楽しめることができました。

また、新たな発見がありました。55STEPSは、ボーカルパートとダンスパートに分かれるのですが、主にボーカルパートの人がメインで歌うことが多い。そのなかで、見つけてしまいました。次のスターになりそうな逸材を。

それが、渡辺 正さんです。いや、すでにスターだよ。というツッコミもあるかもしれませんが、今回の55STEPSでの抜群の歌唱力に、すっかり魅せられてしまいました。ジーザス・クライスト・スーパースターが特に良かったです。

あと、平良 交一さんもよかったなぁ。オペラ座の怪人といえば、高井 治さんですが彼の怪人とは別の、なんだか人間味のある怪人を演じていたように思いました。

スペシャルカーテンコール。

と、その前にスペシャル映像が流れました。それは、セピア色に編集された稽古場でのキャストが一生懸命、練習している様子をバックに、演出の加藤敬二による55STEPSへの想い、そして55STEPSに関わってきた人や観客が込められたメッセージでした。

そして、カーテンコールは、ミュージカル「アプローズ」のアプローズでした。この曲、1幕の最初の方に一度演じられているのですが、カーテンコールでは更に輝きを増していました。宝石箱の宝石に磨きをかけ、更なる輝きをみせたこの演目に会場のテンションは頂点に達します。

さらにダメ押しで、キャストが2階席まで駆けつけて握手をしてくれました。結果、2階席まで含めたスタンディングオベーション。いつまでも鳴り止まない拍手。感動的なフィナーレでした。

本当に行ってよかった、と思える公演でした。これで、ますます劇団四季ファンになるのは間違いないですー。

東京観劇レポート