2003年に関西から上演された「アイーダ」ですが、ついに「ウィキッド」千秋楽の後、電通四季劇場[海]で上演されることになりました。開幕は、2009年10月3日(土)とのこと。

で、気づいたのですが、先日まで東京で上演されていた劇団四季55周年記念ミュージカル「55 STEPS」において「アイーダ」の曲が歌われていたのです。

ラダメス役は阿久津陽一郎さんなのですが、「55STEPS」でもこの「星のさだめ」を歌ってた。すでに宣伝されていたような感じですねー。

さらに、タイトルロールであるアイーダ役は濱田めぐみさん。「ウィキッド」、「ブラックコメディ」、「李香蘭」とボクがこの1年に観た作品だけでも、すべての作品で素晴らしい歌と演技でボク達を魅了してくれています。

YouTubeで、お二人の「星のさだめ」を聞いただけでも鳥肌がたってきました。これは、行かないわけにはいきません。

CMも期待をさせる内容!

090607|李香蘭|劇団四季  

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劇団四季の「李香蘭」の公演を観てきました。

 

「李香蘭」
2009年6月7日(日)13時15分開演
劇団四季 四季劇場[秋]

(出演者)

李香蘭:野村玲子
杉本:芝清道
川島芳子:濱田めぐみ
王玉林:青山祐士
李愛蓮:秋夢子

高橋是清/海軍大将:維田修二
山口文雄/斉藤孝雄:山口嘉三
李将軍/参謀/丸ノ内警察署長:青木朗
参謀/関東軍中佐:岡本隆生
検察官/参謀:川地啓友
弁護官/連合艦隊通信員:林和男
裁判長/参謀:高井治
奉天放送局員/新聞記者/負傷兵:中村伝
検察官/新聞記者:川原信弘
溥儀:星野光一
参謀/関東軍少佐:深水彰彦
永井荷風:川口啓史(劇団俳優座)
伝令兵:藤山大祐
青年将校:渡久山慶
リットン卿:田島康成(劇団昴)
検察官/参謀:池田英治
青年将校:村中弘和
山口夫人:大橋伸予
李夫人/声楽教師:佐和由梨

(あらすじ)

あらすじについては、以下のページを参照。

ミュージカル李香蘭 - Wikipedia

(感想)

たしか、去年も劇団四季では昭和三部作を上演していて、観に行っているのですが、そのときは「異国の丘」の印象がつよかったのですが、奥さんがこの作品をとても気に入っていることもあり、もう一度観ようということになりました。

劇団四季の中で、ボクが最近お気に入りなのは、芝清道なのですが、彼が「杉本」役で出演してました。低音が響く素敵な歌声で、いつも惚れ惚れしてしまいます。ちなみに、芝さんのインタビューはコチラ。

「個性派」封印 一曲で心つかむ 芝清道さんに聞く (1/4ページ) - MSN産経ニュース

あと、濱田めぐみさんの川島芳子もよかったなぁ。ウィキッドのエルファバ役でも抜群の歌唱力を発揮されてましたが、この川島芳子もはまり役だと思います。

そして、タイトルロールの野村玲子さん。劇団四季でもトップクラスの女優さんで、数々の作品で主役を務めてて、間違いなくとっても素敵な方だとは思うんだけど、他の作品で大人の女性を演じている中で、この作品では小学生時代も演じているのが、ちょっと違和感があったなぁ。

たとえば、鹿鳴館では大物政治家の妻の役をとっても艶やかに演じているし、アルデールまたは聖女の伯爵夫人もはまり役だとおもう。

じゃあ、だれが李香蘭をやるのか、といえば難しいんだけども。日本中を熱狂させた大スターであり、帝国劇場でコンサートをする場面は、野村さんじゃないとだめな気がするし。ちなみに、以下のシーン。

そうなると、子供時代と成人を分けるのがいいのかなぁ。うーむ。

作品のストーリーとしては、昭和三部作の中に脈々と流れるテーマである「戦争は絶対によくない、2度と繰り返してはならない」というもので、前回も観ているので変わり映えはしないはずなのですが、やはりラストではウルウルしてしまいました。

なぜかといえば、戦争化においても日本と中国の両方を愛し続けた李香蘭を通じて、同じ髪の色、同じ瞳の色を人間同士、もっと仲良くしようというメッセージが強く伝わってくるからです。

もちろん、横浜には中華街があるし、学校や会社には中国人の方もいて仲良くしているのですが、日本人って、海外といえばまずは「アメリカ」を意識しているところがあるとおもんですよね。

でも、距離的には中国のほうが断然近いわけで。いわば、ご近所さんと付き合わないで隣町の人たちと仲良くするような感じ。こういった雰囲気って、なかなか変えられるものじゃないけれど、考えさせられました。

(Youtubeの映像)

ちなみに、本公演の初日(6月6日)には、李香蘭こと山口淑子さん(89)が特別ゲストとして来場されたそうです。

 

李香蘭も来場、三木たかし氏追悼カーテンコール(芸能) ― スポニチ Sponichi Annex ニュース

20090412|ひかりごけ|劇団四季  

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劇団四季の「ひかりごけ」の公演を観てきました。

「ひかりごけ」
2009年4月12日(日)14時開演
劇団四季 自由劇場

(出演者)

船長:日下武史
西川:中村 匠
八蔵:神保幸由
五助:高橋征郎(劇団民藝)

(あらすじ)

この作品は、1944年におきた北海道の知床岬で起きた事件である「ひかりごけ事件」をモチーフにしています。ひかりごけ事件については、Wikipediaが参考になります。

ひかりごけ事件 - Wikipedia

また、詳しいあらすじは劇団四季のサイトを参照ください。

劇団四季 作品紹介(ステージガイド) ひかりごけ

なお、お食事中の方には、食事を終えた後にお読みになったほうがよいかと思います。

(感想)

”生の意味を真正面から問う”画期的かつ衝撃的な舞台、というキャッチコピーに嘘はありませんでした。

この事件が発生したのは、今から65年前のことで、戦時中で連絡手段も無い中で「生き延びる」ことと「人間としての倫理」の狭間の葛藤や不安、そして疑心暗鬼になっていく船員達の様子が、舞台上で生々しく表現されていました。

演技面では、船長役の日下武史さんの迫力が凄まじく、圧倒されました。

「お前は食わねぇのか!」

という台詞が頭から、離れません。

また、舞台装置としては、ずっと変わらないわけですが、音響や照明などによって、知床岬にて絶望の中でもがき苦しむ船員達の暮らしぶりが、寒々しく、また非常に重苦しく伝わってきました。不思議なことに、段々と自分の頭の中で、船員達が過ごした小屋の内装が浮かび上がってきたんです。

現在の日本は、飽食の時代と呼ばれており食べ物は捨てるほどにあるわけで、ひかりごけ事件のような状況に遭遇することは、ほとんどないんだろうと思います。しかしながら、この作品を通じて、常識では判断が出来ないことが世の中には起こりうるという、当たり前だけれども忘れがちなことを考えさせられてしまいました。

20090405|キャッツ|劇団四季  

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五反田キャッツ・シアターでの、キャッツ公演が千秋楽を迎えるということで、劇団四季のミュージカル「キャッツ」の公演を観てきました。

 

「キャッツ」
2009年4月5日(日)13時開演
劇団四季 五反田キャッツ・シアター

(出演者)

グリザベラ:木村智秋
ジェリーロラム=グリドルボーン:秋 夢子
ジェニエニドッツ:小松陽子
ランペルティーザ:チェ ウンヘ
ディミータ:有永美奈子
ボンバルリーナ:西村麗子
シラバブ:五所真理子
タントミール:八鳥仁美
ジェミマ:王クン
ヴィクトリア:千堂百慧
カッサンドラ:蒼井 蘭
オールドデュトロノミー:チェ ソンジェ
アスパラガス=グロールタイガー/
バストファージョーンズ:寺田真実
マンカストラップ:西門宇翔
ラム・タム・タガー:荒川 務
ミストフェリーズ:金子信弛
マンゴジェリー:川東優希
スキンブルシャンクス:劉 昌明
コリコパット:花沢 翼
ランパスキャット:ユ ホンチョル
カーバケッティ:齊藤太一
ギルバート:入江航平
マキャヴィティ:金久 烈
タンブルブルータス:川野 翔

(あらすじ)

あらすじは、Wikipediaの以下の記事を参照くださいー。

キャッツ (ミュージカル) - Wikipedia

(感想)

幾度となく足を通った五反田キャッツ・シアター。そういえば、初めて劇団四季の公演を観たのも五反田のキャッツでした。そのときの鮮烈な印象といったら、それはそれは衝撃的なもので特にラストシーンで猫たちが熱唱するところ”猫は○○にあらずー!”では、あまりの迫力に頭が真っ白になってしまった。

あぁ、プロってすごいなぁ。ボクには絶対にまねできないなぁ。といった一種の諦めと尊敬の念の入り混じった気分になったのを覚えています。

それから、劇団四季の様々な公演を観に行くようになって、いまではこうやってブログを書くようになったわけですが、そのきっかけとなった五反田キャッツ・シアターが賃貸契約満了ということで、千秋楽を迎えることになった。

劇団四季は、日本各地にシアターをもっています。京都、大阪、福岡、名古屋など。そして、東京で公演を終えた演目は、そのあと地方のシアターで公演されることが多いんです(逆に、地方で初演があって、まだ東京で公演がされてない作品もあります)

つまり、次にいつキャッツを観れるのか分からない。地方になんか行ったら、東京に戻ってくるのはいつになるんだ!?

ということで、慌ててチケットを取って、五反田まで足を運んだわけです。

ストーリーは、いつものキャッツなので取り立てて驚くこともなかったのですが、ラム・タム・タガー役が荒川 務さんだったのがうれしかったですね。荒川務さんは、「ミュージカル異国の丘」や「ブラックコメディ」とった作品で、主人公を演じている俳優。普段は主役級の荒川さんが猫を演じてるー!!ということで、奥さんと喜んでました。

ちなみに、ラム・タム・タガーって何?という方のために少々、ご説明。まず概要は、Wikipediaから引用。

雌猫たちのアイドル。道化っぽさと厳粛さを併せ持つセクシーな猫。公演版によるが、基本的に浮気性。通常、ミック・ジャガーをイメージした猫として演出される。野生的なタテガミがある衣装が印象的。黒い衣装の時と白い衣装の時がある。

で、これだけじゃ分かりづらいので、調べてたらYouTubeで外国版CATS(ある意味、本家かもしれません)におけるラム・タム・タガー(Rum Tum Tugger)の映像を見つけました!

あ、もちろんこの人は荒川務さんじゃないですよ。ただ、音楽は一緒ですね。英語ですが大体同じようなことを行っているように聞こえました。

まぁ、要は暴れん坊な猫なんですよ、ラム・タム・タガーは。そのラム・タムを、紳士的な男性役が多い荒川さんが演じているところが、なんとも不思議な感じ。でも、さすがに歌や踊りは完璧でした。やっぱり一流の俳優さんは、何をやっても様になりますね。

ただ、キャッツの中でボクが一番好きなキャラクターは、ラム・タム・タガーじゃないんですね。

スキンブルシャンクス(Skimbleshanks)が一番なのです。

Wikipediaから、どんな猫なのか、引用ー。

鉄道猫("The railway cat")。活動的なオレンジのブチ猫。列車に住み、非公式の車掌として活躍している。

YouTubeにも映像があったので、貼っておきます。

 

どこが気に入っているかというと、このシーンの最後のほうで猫たちがガラクタをあつめて、1台の列車を作ります。その天井で、スキンブルシャンクスが歌うんですが、このシーンがなんとも素晴らしい。列車の旅のワクワク、ドキドキする感じだけを抜き取って凝縮した感じなのです。初めてCATSを観たときは、まずこのシーンで感涙しました(泣)

ちなみに、劇団四季のCATSのほうが、このYouTubeの中で猫たちが作っている列車よりも、かっこいいです。

 

それにしても、これでしばらく見納めかとおもうとほんとにサビシイですね。地方公演が始まったら、猫たちに会いに行ってしまいそう。

劇団四季の「アルデールまたは聖女」の公演を観てきました。

「アルデールまたは聖女」
2009年1月31日(土)17時30分開演
劇団四季 自由劇場

(出演者)

将軍 : 志村 要
将軍夫人 : 斉藤昭子
伯爵(将軍の義弟) : 味方隆司
伯爵夫人(将軍の妹) : 野村玲子
男爵(伯爵夫人の恋人) : 栗原英雄
ニコラ(将軍の二男) : 田邊真也
ナタリー(将軍の長男の妻) : 木村花代
アダ(女中・将軍の情婦) : 団こと葉
アルデールの恋人 : 高橋征郎(劇団民藝)

(あらすじ)

舞台はフランスの避暑地、名将レオン・サンペ邸。

主人の将軍は、嫉妬で精神に異常をきたした夫人に隠れて、若いメイドと浮気をしていた。

長男の大尉は、20歳の美しい妻を邸に残したままアジアから帰らず、士官学校生の多感な次男は幼馴染のその兄嫁に複雑な感情を抱いている様子。

将軍の妹の伯爵夫人リリアーヌにも夫にも公認の愛人がいた。

もう一人の妹アルデールは、生まれつき身体に障害があり、人生の欲望とは無縁の聖地のような生活を送っていたのだが、その彼女が同じ障害者の家庭教師と恋に落ちていることが分かった。

将軍はアルデールの恋愛のことで家族会議を開く。人々の間に危うく保たれていたバランスが崩れ始めていく・・・

(感想)

「アルデールまたは聖女」は、劇団四季の旗揚げ公演として1954年1月22日から3日間上演されています。この作品は55年という月日を経て、新しい世代を担う劇団四季の俳優たちによって鮮やかに蘇りました。

タイトルとなっているアルデールは、結局一度も姿を見せることはありませんでした。アルデールに求めていることと、自分自身が犯している過ちとの間でそれぞれ苦悩する様子を障害をもったアルデールを中心として表現しており、脚本の構成自体の完成度がとても高いと感じました。

劇団四季は、旗揚げ公演当時、この作品を上演するにあたり半年間の準備をしたということですが、55年が経過してもなお色褪せていませんでした。半世紀を経ても、観客に共感させられる普遍的なテーマを選択できるスキルが、当初の劇団員達に存在していたからこそ、劇団四季がここまで成長できたのだろう、と感ぜざるを得ません。

次に俳優さんたちの演技ですが、一番印象に強く残ったの伯爵夫人役の野村玲子さんです。野村さんというと、今までは「オンディーヌ」の水の精オンディーヌ役や「李香蘭」の李香蘭役、「赤毛のアン」のアン役など、可憐な少女を演じることが多かった。しかし、今回は伯爵夫人として、夫である伯爵と自分の恋人である男爵との間にある微妙な距離感を巧妙に演じており、とても説得力がありました。

そんなことを思っていたら、Yahoo!知恵袋でもっと直接的な書き込みがありました。

先日劇団四季のハムレッットを観に行ったんですが、オフィーリア役の野村玲子って... - Yahoo!知恵袋

ボクも基本的には上記の意見には同感です。劇団四季の代表である浅利慶太氏の奥さんということで、主役を射止めているのではないか、というの指摘はもしかしたら表面的であり薄っぺらいものなのかもしれません。キャリアをつめばそれだけ演技に深みを増していくわけですし。実力がある俳優であることは、誰もが認めているかとおもいます。不思議なことに、多少年齢差にギャップを感じてしまいながらも、野村さんの出演する舞台を観にいくため、足しげく劇場まで通っているのも個人的な面では事実です。

年相応というと少々失礼なのかもしれませんが、年をとっていくことは決して悪いことではなくて、おそらく若かったころの野村さんが、この将軍夫人役を演じても、独特な妖艶な雰囲気は出なかったはず。個人的には、もっともっと”大人の女性”の演技が見てみたいなぁ。そういった意味で、野村さんのこれからが楽しみです。

東京観劇レポート